約3ヶ月振りに美術館賞に千葉県立美術館の表題の展示会を訪れた。千葉県立美術館の開館50周年の記念の大きな展覧会である。前回、本美術館を訪れたのは5年前の開館45周年記念の日本が画家「後藤純男展」であった。高島野十郎はまだあまり一般に名前の知られた画家ではないが、約20年前に三鷹市美術ギャラリーでの展示会で初めて知った。非常に丁寧な描写で好感のもてる印象であった。2025-8-31のNHK教育TVの
「日曜美術館」で放映され詳しく紹介された。今回の展覧会は、福岡県立美術館が1980年代から地元出身の当時は無名に近い洋画家「高島野十郎」の作品に注目した学芸員たちが地道に調査発掘し蒐集し、企画した展覧会で、千葉県立美術館→福岡県立美術館→豊田市美術館→他全国各地に巡回される。千葉県立美術館での本展の趣旨を借用すると次のようになる。
高島野十郎(1890~1975)は、福岡県久留米市出身で主に東京で活動し、晩年千葉県柏市に移り住んだ洋画家で、「蝋燭」や「月」などの主題を細部までこだわった筆致で描きました。没後50年の節目を機に開催する本展は、これまでに開催された高島野十郎を越える最大規模の回顧展です。代表作はもちろんのこと、彼の芸術が形成されたルーツを遡り、生涯にわたって自身のよりどころとしてきた仏教的思想を読み解きつつ、青年期や滞欧期の作品など、従来の展覧会では大きく取り上げられることなかった部分にもスポットを当てます。さらに、野十郎や関係者による書簡や日記、メモ等の資料をもとに、彼がひとりの人間としてどのように生き、周囲とどのような関係を築いて絵描きとしての歩みを進めたかという部分にも注目し、野十郎の人間像にも改めて迫ります。野十郎は71才の時に当時まだ田畑が広がる静かな田園地帯であった柏市増尾に移り住み、晴耕雨読ならぬ晴耕雨描の生活を送りました。彼は訪ねてきた姪に「ここは俺のパラダイスだ」と語ったといいます。千葉の海もまた、絵の題材として彼の心を掴みました。野十郎終焉の地であり、月や海など彼を魅了した豊かな自然のある千葉で、野十郎の絵画世界を思う存分慕っていただけるまたとない機会です。
千葉県立美術館での「高島野十郎展」の作品展示数は同時代の関連画家の作品も含めて、171点、でうち
高島野十郎の作品は156点(福岡県立美術館:48,個人蔵:84,他の美術館:6,法人他:18)。
最初期の旧制中学時代から1975年の遺作までを網羅している。なお、本展では一部の作品を除いて写真撮影が許可されていた。東大出身の画家の展覧会は初めてである。作品にも科学者としての厳密な表現も見られるように感じた。また、裕福ではなかったが、画材や絵具は良質なものを選んで使用しているようだ。
また、兄弟や親戚などの援助で、1929年~1933年の長い期間ヨーロッパの各地を訪れ、デューラーやゴッホなどの作品に触れ、その影響もみられる作品もあった。作品表現は全体的に野十郎流の写実主義?
以下に写真を添付します。
2.蓮華 1904~09 →旧制中学時代
写真はうまくアップロードできななったのでPDFファイルで見てください、
高島野十郎展2025-9--4
- 千葉県立美術館:開館50年の展覧会会場
3.自画像 1920 4.りんごを手にした自画像 1923 5.煙草を手にした自画像 1945
6. 蠟燭 (16点展示),お礼に渡していた? 7.からすうり 1935 8.満月(月を描くのではなく闇を描く)
9. パリ・ノートルダムとモンタニュー通りⅡ 1932 10. ひまわり(ゴッホ調) 1954
高島野十郎の作品は風景画や静物画に親しみが持てる。
11. すいれんの池 (新宿御苑) 89×130 野十郎の最大の作品 1949
12. 境内の桜 1955 13. 雪の村 1958
14. 海辺の秋花 1953 14. 睡 蓮 (自分で栽培した) 1975 絶筆