昨年末に西村さんから投稿がありました。新年元旦にアップロードすることにしました。(管理人)
2019年1月1日 西村 和晃記
私がここ酒々井に住み着いて依頼30年以上にわたって自宅近くの猫の額ほどの土地にいろいろな植物を植えてきた。そしていつも不思議に思っていたことが、どの参考書を読んでも畑に植物を植える前には必ず石灰又は苦土石灰を漉き込んで中和しなさい、とあることでした。
私は、このことを今までは、空気中の炭酸ガス(CO2)が雨水に溶け込んでできる炭酸水(H2CO3)が主な原因だろうと思っていた。
しかし今回この本(*1)を読んで真の原因が、植物を植えそれが成長し作物を作ること自体にあることを教えられた。
我々工業化学を学んだもののちょっとした知識として、このことを皆様にも知ってもらいたいと思い、筆を執りました。
ここでは上記著作の中で私の間違いを正してくれた件のみについて記載しておりますが、それ以外の興味ある方は原著を読んでいただきたい。
表題:日本の土はなぜ酸性なのか?
農家の方々をはじめ、素人の我々でも畑で何か植物を植える時には必ず1m2当り100grから150grの石灰又は苦土石灰を漉き込むように参考書には書かれているが、これは土壌が非常に酸性であり、このままでは植物が生育しないので、それを中和して植物が生育しやすいようにするためであることは参考書にも書いてあるがその原因については全く書かれているものを見たことがない。上記著者の調査によると、日本の土壌ではpHが3~4くらいの酸性となっているとの事である。(ちなみに雨水のpHは6程度との事)
ではなぜ日本の土壌は酸性なのか?
植物の根や微生物も人間や動物と同じ様に生きるために呼吸をし、その結果CO2ガスを出している。特に日本では高温多湿の為にその活動が旺盛で放出されるCO2の量は大量である。更に土壌が酸性になるもっと大きな要因は根や微生物から有機酸(クエン酸やリンゴ酸など)も放出されるからであるとのことである。
日本の土壌が酸性に傾いているのは農業にとっては問題だが、その酸性物質を溶かし込んだ水は岩を溶かし土へと変える。そしてその土からはミネラル類(カルシウムやマグネシウム、その他)が放出され一部は植物や微生物に吸収されそれらがさらに風化を促す。
このようにして日本の土壌は非常に速い速度で作物に適した土壌を生産していることになる。(*2)
上記で生物(根や微生物)から有機酸が出て土壌が酸性になることは分かった。
しかしその結果新たな疑問が出てきた。即ち
1. 生成される酸はクエン酸やリンゴ酸などというが、その他にはどのような酸が出ているのか?
2. それらの有機酸は、生物の活動のどの過程でどのように作られるのか?
3. 植物の種類によって排出する有機酸の成分や濃度に違いはあるのか?
4. またそれらの成分や濃度はどのようか?
5. それらの有機酸は地中で、又は地表に出てからどのように中和されるのか?(*3)
6. 又は中和されることなく川から海に出て海の酸性化を促進しているのか?
上記書では土についての研究であるので私の疑問には回答は述べられていないし、私自身も今までに聞いたことがない。
皆様の中で少しでも参考になることをご存知でしたら是非教えて下さい。
(*1): 藤井 一至著“土 地球最後のナゾ/100億人を養う土壌を求めて”
(*2):植物が育つためには①土(これはその粒子の大きさによって,砂(荒い砂ともっと細かい砂(2mm~0.02mm))、シルト(0.02mm~2μm)、粘土(2μm以下)に分けられる。)と②腐植(*4)と③水とが絶対的必要である。
(*3): 山に登った時に湧き水を飲む機会は多かったが、pH3くらいの水を飲んだ時に決して酸っぱさを感じなかったので、地中のどこかで中和されていると思うがーー。
(*4):腐植とはその名の通り”腐った植物“に由来する。落ち葉や枯草や根といった植物由来の遺体に限らず動物や微生物の遺体や糞などもその材料になる。これらの生物遺体が原形をとどめないほどに細かく分解され腐葉土となり、更に変質して腐植となるのである。
上記①の粘土と②の腐植とがミミズやアリ、ヤスデ、ダンゴムシなどが混ぜ込んで植物が成長できる土壌となる。
竹崎さん
土壌の酸性化に関するネット検索の結果の情報のコメントありがとうございました。西村さんの情報と併せて土壌に関する知識が少し増えました。
雨量の影響のメカニズムも理解が進みました。
油粕など窒素が多い肥料の使い方にも注意が必要であることも認識しました。
竹崎さんは古典の詩歌にも興味を持ち、素数に関しても造詣が深いのですが、この様に土壌に関してもネット検索される実行力には
感心します。
2019年1月6日 宮口 守弘記