日本の山々について、百名山とか、最近は二百名山とか取り沙汰されているが、なんと言っても日本一の山が富士山であることは誰もが認めるところであろう。
富士山は見る山で登る山でない、と言われていることは承知しているが、日本で一番高所に立ちたいという願望、誘惑に逆らうことができない。
今回で4回目となるが、諸々の都合で9月12、13日に吉田口から登ることとした。
因みに一般的には富士登山は7~8月間とされ、登山道にある山小屋の多くは9月初めには閉じるが、残ったほとんどの山小屋も今年は13日を最終日としていた。
12日9時半、5合目を出発、天候は晴れ。6合目、7合目と順調に進んで、15時すぎ8合目の予約していた小屋(標高3250m、元祖室、200人収容)に到着した。今日は超満員とのこと。16時半にはカレーライスの集団夕食、600円のビールが美味い。外に出ると風が強くなっているのが気になったが、影富士(写真3)を撮って明るいうちから就眠した。
ところが深夜、小屋主人から宿泊者全員に緊急連絡「頂上付近の天候が急に悪化、20m以上の強風と雹の嵐であり、夜中に出発する登山は中止されたい」との要請(警告)がなされた。普段であれば、夜中に出発するが、それを見合わせ夜を明けるのを待って(写真1)13日5時半に出発した。登るにつれて段々と風が強くなってくる、天上の雲も黒く動きも速くなってくる、頂上に近づくと雨、雹が横なぶりに叩きつける。7時45分、やっとのことで頂上に辿り着いた。他の山々を含めてこのような経験(8合目と頂上との気候の変動の違い方)は初めてだ。
数枚の写真を撮る(写真2)のが精一杯、ヤッケなど雨具を着ててもズブズブ。ブルブルふるえながら低体温症を心配しつつ急いで下山した(写真4)。5合目あたりは雨、風なし、青空が広がっている、レストランで暖かい汁粉をいただき、この貴重な体験を噛みしめた。来年も日本一の山に登りたいと思っている。
(2015/09/19 山本 信夫記)
写真2 頂上
写真3 影富士
写真4 下山途中のおどおどしい形相の天候
山本さんの今回の富士山登山記は今までの山本さんの登山歴の中でも貴重な体験の一つではと思って拝読しました。
前田さんのコメントのように影冨士は素晴らしい写真ですが、写真4は確かに不気味な天候の変化が判り面白いですね。
富士山は二十代前半で一度登っただけでその後は途中までです。しかし、茅ヶ崎沖での船釣り時、相模湾から見る富士山は釣れない時に良く眺めて、写真も撮っています。冬場の天気の良い時は実にすばらしいですね。しかし雲が全くかからない時は少なく、大半の写真は雲がかかっています。
これからも相模湾からの富士山を楽しむつもりです。
そして、時々山本さんのこの登山記を思い起こすでしょう。
2015.9,20 宮口 守弘記