今朝(8月25日)の朝日新聞のオピニオン「長期政権のわけ」に西村 修教授の「自発的隷従が支える圧政」と題する発言が掲載されている。
同紙を購読する方は読まれたことだろうから、少し補足させていただこうと思う。
自発的隷従論は16世紀にフランスのラ・ボエシが唱えた。直訳すれば『意思の隷従』となるが、荒木昭太郎氏は『奴隷的隷従を排す』と訳されているという。
わたしはそのことよりもラ・ボエシ(1530-1563)という名前に少々驚いた。モンテーニュ(1553-1592)の『エセー』を読んで知った名前だからである。モンテーニュと彼はボルドーの高等法院時代の同僚であり無二の親友となった。ラ・ボエシは三つ年上であったが、ペスト?によって33歳で夭折してしまった。
彼については『エセー』(岩波文庫)第一巻の第二十八章「友情について」に紹介されており、五年前にも読んだ。
また三年前に読んだ、堀田善衛のモンテーニュの評伝『ミシェル城館の人』(集英社)第一巻にかなり詳しく紹介されている。