名工大 D38 同窓会

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前田・宮口・三山
びわ湖ホールのN響公演、鈴木直久

びわ湖ホールのN響公演、鈴木直久

824日、びわ湖ホールでN響公演を久しぶりに聴いた。

 N響の演奏を普段はEテレで視聴しているが、今回の公演のプログラムに魅力を感じて、早めに舞台正面の1F席を確保しておいた。

プログラムは、ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番およびベートーヴェンの交響曲第5番「運命」である。いずれの曲も生演奏を聴くのは初めてだった。

 指揮者は下野竜也そしてピアノ演奏はフランス人女性リーズ・ドゥ・ラ・サールだった。彼らの演奏を聴いたのも今回が初めてである。

 「ウィンザーの陽気な女房たち」の序曲はどうということもなかった。期待したのはラフマニノフとベートーヴェンである。その2曲の演奏は期待に十分に応えてくれた。

 

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、周知のように、彼が作曲した4曲のピアノ協奏曲のうちで最も人気が高い。その旋律は伴奏音楽として映画、テレビドラマやフィギュアスケートなどでしばしば利用されてきた。

 さて、今回の演奏についてである。リーズ・ドゥ・ラ・サールはN響の響きに負けないで、この難曲を堂々と弾き切った(と思う)。身体を大きく動かさなかったから、楽々と弾いたように見えた。まだ満30歳であるとはいえ、妖精のような顔立ちで脚長の女性が、男性に負けない強靭な音を出せることが不思議だった。

 その彼女をN響が熱演でサポートしたから、理想的な協奏曲の演奏になったと思う。それは下野竜也の指揮のお蔭でもあろう。正統的な棒捌きの指揮者であり、リズム感が優れ、ダイナミックな表現に秀でていると感じた。

 この日に先立って、アシュケナージがピアノを弾き、ハイティンクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮する手持ちのCDを聴いておいたが、重厚な響きを持つこの曲の真価を味わうためには、今回のよう生演奏でなければならないと痛感した。

 そして次の「運命」の演奏への期待が一層高まった。

 

 ぼくのような音楽鑑賞の初心者にとって、「運命」の演奏には2つの重要な着眼点がある。第一のそれは、第1楽章の冒頭の有名な三蓮音の長さと全体のテンポである。その三蓮音はやや短めであり、テンポは早めだった。それが現代の標準的な演奏スタイルなのだろう。最初の三蓮音は、ややぎこちなく開始されたようだが、直ぐに立ち直り自然な流れになって進行した。第二の着眼点は第3楽章の終わりから切れ目なく続く終楽章冒頭のフォルテシモ表現である。立派だった。そして団員たちが下野の指揮に懸命に応えたから素晴らしい終楽章になった。

びわ湖ホールは音響が素晴らしいことでも知られているから、その効果も加わってのことだろう。

この曲のCD6枚持っているが、ベートーヴェンの交響曲の場合、生演奏と比較することにはあまり意味がないと思う。あるレベル以上の演奏能力を持つことが前提となるが、要するにどれだけ熱意を持って演奏したかが問題である。その意味で今回の演奏に十分満足した。

2018年8月26日

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