イタリアの女性経済学者、ロレッタ・ナポリオーニが１２１の文献を基に書いた本である。執筆は昨年の今頃であるが、内容は充実している。今、新聞や雑誌に載るイスラム国に関する情報は脱出してきた戦闘員や捕まったクルド人等でどちらかというと北朝鮮のようなネガティブの情報が多い。この本は、テロリストの過去の歴史からの考察も含めて初めて知ることが多い。要約すると、今のイスラム国の指導者はアメリカがCIAの偽情報によりイラクのフセインがアルカイダと関係があるとイラク攻撃の口実を作った時に起因して、現在の指導者は2代目の指導者であるとのこと。今の残虐性も統治の一過性のことであり、宗教的な教義に忠誠であれば、住民には危害は及ばさず、むしろ、福祉国家のような統治を行っているようである。しかし、女性への権利無視、宗教の教義への厳格さ等は私には理解できない。当然、西欧の価値観では理解できないであろう。イスラムとは厄介な宗教である。しかし、人口的には無視できない数字である。